内容紹介
図書館で働く人にとって存外に知る機会の少ないのが出版業界です。隣り合わせといえる世界だからこそ取り扱う資料(商品)が重なるからこそ知っておきたい核心事項がそこにはあります。図書館業務に欠かせないシリーズ“出版キイノート”。トピック単位で読みやすい分冊形式。本書のテーマは「再販制度と独占禁止法」です。
目次
1 再販制度を定義し、資本主義のもとでは特例的な商慣行であることを確認します。
2 独占禁止法は、経済活動における競争の原則に、違反する行為を禁じる法律です。
3 日用ブランド品と著作物の再販制度が、独占禁止法の適用除外措置となります。
4 公正取引委員会が、世論の動向や米国の圧力を受け再販制度見直しに着手します。
5 日用ブランド品に対する指定再販制度は、1997年3月で事実上の廃止となります。
6 法定再販は、公正取引委員会と関係業界とで、1990年代に大論戦となります。
7 著作物六品目に対する法定再販の制度は、2001年に「当面存置」の結論を得ます。
8 再販制度のもとでの割引行為と、再販制度容認の「正当な理由」を紹介します。
9 参考までに、新聞業界には再販制度に加えて「特殊指定」という規定があります。
内容情報B
本書は、出版業界における特異な商慣行の再販制度を取り上げ、法律上のバックグラウンドである独占禁止法の存在も含めて、多面的に説明を試みています。独占禁止法そのものの解説は無論のこと、再販制度と独占禁止法の相関を、第二次世界大戦後の歴史のなかに位置づけて敷衍しました。出版業界と同様に再販制度を有する、音楽業界と新聞業界の動向についても叙説に含めました。また、アメリカやドイツにおける競争政策に関しても少なからず点描しています。