戦国織豊期の貨幣と石高制
内容紹介
一五世紀末から一六世紀末、貨幣はどのように流通していたのか。大内氏・毛利氏の領国を中心に石見銀にも注目し、銭貨通用の実態、銀の社会浸透、米の性格や機能、それに対する中央政権や大名権力・諸領主の対応について文献史学の立場から具体的に考察。貨幣流通の史的展開と石高制成立の歴史的背景を、流通・財政・権力編成の観点から解き明かす。
目次
表紙
目次
序論 研究史の整理と課題
一 日本中世貨幣史研究の成果
1 一九二〇年代~八〇年代
2 一九九〇年代以降
(1)東洋史分野での研究の進展
(2)考古学分野での研究の進展
(3)日本史(文献史学)分野での研究の進展
二 研究課題と本書の構成
1 未解明の諸問題
2 課題と視角
3 本書の構成
第一編 戦国期社会における銭貨
第一章 銭貨をめぐる諸権力と地域社会
はじめに
一 「撰銭」の発生と撰銭令
1 歴史的背景
2 公権力の対応としての撰銭令
二 大内氏領国における銭貨通用の実態
1 撰銭をめぐる諸階層の動向
2 「清銭」の性格と大内氏の銭貨政策
おわりに
第二章 銭貨通用の実態
はじめに
一 銭貨収納と地域社会
1 銭納における基準額と換算値
2 年貢銭納の実態
二 銭貨をめぐる大名権力と地域社会
1 在地における銭貨通用
2 大名権力の銭貨政策と「和利」
おわりに
第二編 金銀の流通参加と米の機能
第一章 継承基準額と毛利氏の領国支配
はじめに
一 「古銭」「当料」と「和利」
二 基準額の継承と領国支配の特質
おわりに
第二章 南京銭と鍛
はじめに
一 南京銭の流通
1 「清料」と「南京」「新銭」
2 段銭収納と南京銭
3 その他の南京銭事例
二 鍛と多様な銭貨の流通
おわりに
第三章 銀の海外流出と国内浸透
はじめに
一 銀と貿易
1 国際通貨「倭銀」の登場
2 金銀貨の国内流通の進展と対外貿易
二 銀の国内流通と社会浸透
1 石見銀山と厳島
2 銀の社会浸透
三 銀の需要と大名財政
1 銀の需要
2 銀の財源
おわりに
第四章 米の性格と機能
はじめに
一 地域社会と米
1 安芸国厳島社領の事例
(1)友田郷社米の使途
(2)米の役割と造営用途の変化
2 周防国養徳院祠堂米の事例
二 大名権力と米
1 兵粮としての米需要
2 段銭米と大名財政
おわりに
第三編 貨幣流通と石高制
第一章 織豊政権の貨幣政策と石高制
はじめに
一 室町幕府・三好政権の撰銭令
二 織田信長の貨幣政策と権力編成
1 信長の選銭令
2 銭貨政策と財政運営
3 石高制の萌芽
三 豊臣政権の貨幣政策と石高制
1 国内金銀鉱山の掌握と貿易統制
2 財政構造と金銀貨鋳造
3 銭貨への対応
4 石高制の採用
おわりに
第二章 地域大名の領国支配と石高制(1)―毛利氏の惣国検地と石高制―
はじめに
一 分国掟と南京銭
二 惣国検地と鍛
1 天正の惣国検地
2 年貢銭納の一形態―備中国神島年貢算用状について
3 文禄の石改めと慶長の惣国検地
三 惣国検地と財政改革
おわりに
第三章 地域大名の領国支配と石高制(2)―名島小早川領の指出・検地と石高制―
はじめに
一 小早川隆景の指出徴収と「分古銭」
二 山口宗水の検地と石高制
おわりに
結論 総括と展望
あとがき
索引
著者略歴
奥付